Outsider Art from Japan / ART BRUT FROM JAPAN ヨーロッパ巡回展

ART BRUT FROM JAPAN / ヨーロッパ巡回展とは

ヨーロッパ巡回展 / 開催の背景

2008-2009年にアール・ブリュットの総本山として世界的にも名高いアール・ブリュット・コレクション(スイス ローザンヌ)で「Japon」展が開催され好評を博し、2010-2011年には、パリ市立アル・サン・ピエール美術館(フランス パリ)で約12万人の観客を動員した「アール・ブリュット ジャポネ」展が開催されました。これらの展覧会がきっかけとなり、ヨーロッパで日本のアール・ブリュットに対する認識と関心が一気に高まりました。

多くの人々の注目を集める中、パリで開催された展覧会で、ドルハウス美術館(HET DOLHUYS オランダハールレム)館長の目にも触れ、日本のアール・ブリュット作品を他のヨーロッパ諸国でも展示できないかと展覧会開催の打診がありました。

ドルハウス美術館関係者と日本の事務局双方で、展覧会開催に向けての協議を重ね、また、今展に興味をもたれたヨーロッパ諸国の他美術館からの賛同もあり、今回のヨーロッパ巡回展開催へとつながりました。

出展作品の選定には、ドルハウス美術館ハンス ロイヤン館長自ら、2011年10月に来日され、ボーダレス・アートミュージアム NO-MA をはじめ、関東や関西の福祉施設やアトリエなどで行われている造形活動を視察しました。また、世の中にまだ紹介されていない作品の発掘にも興味を示され熱心に作品の選定をされていました。

その結果、46名の作家による約850点の作品が、オランダ ドルハウス美術館(HETDOLHUYS オランダ ハールレム)を皮切りに2012年4月よりヨーロッパ7カ国(予定)を巡る展覧会に出展することとなりました。

事業目的

今巡回展に出展している作家の多くは、知的や精神に障害を持った方々です。障害のある方が制作する作品を多くの方々にご覧いただくことは、『障害』そのものが社会を豊かにしていく証であり・能力であるということを実体験していただける機会になると思っています。

近年、人々の目に触れるようになったその作品は、美術的価値が認められるようになってきました。作品が世に出ることで人と人との新しい出会いも創出されています。アール・ブリュット作品を通した文化芸術の発信は、障害者のエンパワメントのひとつの形と考えています。

また、ヨーロッパを巡回する今回の展覧会は、ヨーロッパ諸国の人々に日本のアール・ブリュット作品の魅力を直に伝えることが出来るまたとない機会です。この展覧会が各国を巡ることによって、アール・ブリュットが日本の文化芸術の財産として広く認知される契機と捉えます。

事業内容

作品の出展準備

2012年1月初頭、出展作家や作家関係者のご協力のもと、ヨーロッパ巡回展へ出展する約850点の作品が全国各地から日本事務局のある東京都中野区に集められました。一点一点キズや汚れなどのチェック・採寸を行い、作品の状態を管理する調書を作成し、ヨーロッパの各主催美術館が図録製作などに使用するための作品撮影も並行して行いました。そして、海外への作品輸送は、美術梱包にて送り出しました。
(出展準備場所として、廃校になった中野区立旧第六中学校を中野区からご提供頂きました。)

  • 作品保管作品保管
  • 調書作成調書作成
  • 作品撮影作品撮影
  • 美術梱包美術梱包

出展作家の権利保護

出展作家に知的または精神に障害があることにより、十分な判断能力がない場合、著作権等で作家本人の権利が十分に守られないことが懸念されます。このような場合、作家の権利擁護として成年後見制度を利用し、作品の出展の意思、広報や印刷物などへの作品画像の掲載、図録制作(出版物)など著作物使用に際する承諾の可否決定について、成年後見人(又は保佐人、補助人)が本人の意思を尊重し、本人を代理し行います。

近年では、今展のように障害のある人が国内外の展覧会に作品を出展する機会も増えてきております。作品の価値が向上することで権利擁護に関する様々な課題もでてきています。作家の権利擁護は、多様な人が社会の中で活躍する場を作り、拡充する上でも非常に大切な要点であると考えています。

国内事前展覧会の開催

国内での事業の周知・啓発を目的に、2012年2月3日~5日、滋賀県で行われたアメニティフォーラム16の同時開催企画として、国内事前展覧会「アール・ブリュット展 これまで出会ってきた作家たち。再び、世界に飛び出す作家たち。」を開催し、ヨーロッパ巡回展前に出展する作品の一部を展示紹介致しました。3日間で約1,500人を超える方にご来場いただきました。

広報

ヨーロッパで開催されている本巡回展を国内でもより多くの人々に知っていただくため、公式ウェブサイトやFacebookページ、ニューズレターなどで周知に努めてまいります。
公式ウェブサイトは、各展覧会の様子や作家の紹介、最新情報の掲載などを行い、ヨーロッパの出来事をよりリアルにより身近に感じていただけるように配信致します。
ニューズレターでは、各美術館の展覧会報告やアール・ブリュットに造詣の深い方々に原稿を執筆いただくなど、アール・ブリュットの魅力や可能性などについて発信していきます。

出展作品に関して

ヨーロッパ巡回展には、13都道県から46作家が853点の作品を出展しています。展示される作品や展示数は、各主催美術館の意向や展示空間によって異なります。各美術館によって見せ方などの違いも本巡回展では楽しめます。

参考

アール・ブリュットとは

「アール・ブリュット【仏:Art Brut】」とは、フランス人画家ジャン・デュビュッフェ(Jean Dubuffet 1901-1985)が1945年に考案した概念である。Artは芸術、Brutは「(加工していない)生の」という意味を持ち、「生(き)の芸術」と表されている。正規の美術教育を受けていない人が自発的に生み出した、既存のモードに影響を受けていない絵画や造形作品を指している。 アール・ブリュット作家の中には、知的または精神などの障害のある作家も多く含まれ、人の普遍的な創造することの可能性や豊かさを伝える芸術分野として今、国内外で注目を集めている。